いま、アメフトに想うこと

日大と関学の件について、

アメフトに携わっていた人間として少し書きたいと思いました。

 

この件が取り上げられるようになり周りの人たちから、

「あんなのありなの?ありえるわけ?やばいよね」

とかよく言われますが、

「ないっすね」というのだけれども、

あのプレー自体が細かくどうとか(例えばQBが投げ終わる瞬間完全に見てたじゃん!とか)そういう気持ちではなく、

「なんであの選手はあんなことしたんだろ?」

「なにがあったんだよ」

「どんなけ追い込まれたんだ」

とかそう思ってしまう。

つまり、とってもとってもありえなくて逆に不思議です。という。

アメフト関係者はみなそう思うだろう。

 

アメフトはコンタクトスポーツで危険なだけに全てにおいて厳しい。

大学のアメフト部は、強豪であればあるほど規律に溢れ、部活という学校に付帯する何かという存在を超え、軍隊というか人生というか宗教とかそんな類の生活の中の全てみたいになる。

※だから私は留年しましたと小さな声で叫びたい、ごめんなさい父&母。

 

そんなこんなで日大選手の記者会見を見ると、とてもいたたまれない気持ちになる。

 

生きてる全てがアメフトです。の状態で、監督コーチから「QBをつぶせ、やらなきゃ意味ない、絶対やれ、相手が怪我して秋リーグでれなきゃこっちのもん」的なコンボ攻撃をされたら、もうマインドコントロール状態に近いでしょう。

アメフト界で「相手をつぶしてこい」は常とう文句ですが、ルール内でそれくらいの気迫でやれという意味。だが1週間前からジワジワ追い詰められて、試合開始直前までコンボで言われ続けたら、それはもう今回のようになってもありえなくないなと思ってしまう。

 

日大選手はそりゃあ悪いし、「全然ダメっす、パイセン」なのですが、まあ監督が悪いのだろうけど、日大アメフト部の常識が非常識だったということでしょう。

 

ただ1プレー目でやらかして、なんでハッと我にかえれなかったかなあと悲しくなる。どれだけ錯乱してたのかわからないからヤイヤイ言えないのだけどとにかく悲しい。

 

あのQBへの反則タックルの映像は、「無力の人間がタックルされてぶっ飛ぶ」というとてもわかりやすくて「アメフトやべえ」と思わせてしまうのだけれど、あれがアメフトだと思ってほしくなく、こんなことが起こってしまう「下手したらマインドコントロールみたいになり得るような極限状態で、みんな頑張っているスポーツ」と捉えてほしい。(無理か、頑張って捉えて)

 

ただ一方で、アメフト選手はチーム内が全てとなってはいけない。自分目線と相手目線、チームの内と外。日大選手も一瞬でも外から俯瞰で自分を見れれば我にかえれただろうと思う。

 

アメフトが危険なスポーツとしてだけ認知されるのは本当にかなしい。

 

 

あとここからは余談で偏見MAXですが、今回の騒動でメディアに出て発言しているアメフト関係者を見て、人格者が多いなあと改めて思う。特に関学の鳥内監督と小野ディレクター。(ディレクターという立場がアメフト界にあったんだと知りました)関学は怒り狂っていて「ファック日大」という雰囲気を感じるが、決してそうではないと私は思う。鳥内さんレベルの巨匠魔人は日大のスポーツマンシップ復活を感じれば以前のような定期戦を設けるだろう。関学ファイターズってそういう非常にレベルの高いチームだと思いますよ。

 

 

ああ、かつて自分もアメフトをやっていたんだなとこの騒動で再確認し、よっしゃ頑張ろうと自分を鼓舞する平日の夜。

 

今年も母校の優勝を願います。

 

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